スケルトンリフォームのプランニング例
築40年のマンションを一室をスケルトンリフォーム
現況
築40年であっても、大手のディベロッパーが設計施工した建物は、その後も定期的に大規模改修工事が行われているため、躯体の状態が大変良好で、まだまだ数十年の使用に充分耐えられそうです。
立地や共用部分の管理も申し分ない上、最新式のオートロックシステムの導入やエレベーターの交換など、セキュリティーや安全性の上でも満点の物件です。
問題はその間取りと設備の古さにありました。現況図のように、和室が日当たりの良い南側を占領しているため、二つの部屋の入り口のふすまを閉めてしまうと、パブリックスペースであるLDK に全く日が差しません。
また、それぞれのスペースが小さく区切られ、全体の広さを実感できる場所がないのも魅力を落とす一因となっています。
そして最大の問題点は、収納にあります。
このプランでは、収納は二つの押入しかありません。建築当時は当たり前だった、置き家具での収納を前提にしていて、和室もLDK も、壁際にずらりと箪笥などの家具を並べて使用してこられたものと思われます。
現代的なプランニングでは、置き家具を出来る限り使用せず、作り付けの収納を上手に計画することによって家事効率を上げながら、スッキリした空間が維持できるよう配慮します。
また、寝床の枕元に置き家具を並べないで済む空間は、地震対策としてもとても有効です。(家具が寝床の上に倒れてこない)
「明るくすること」「広々と見せること」「充分な量と使い勝手を備えた収納」を計画することが、このリフォーム成功のポイントになるものと思われます。
想定ユーザー像
改修例の想定ユーザー団塊の世代夫婦は、子供はすでに 巣立ち、ご主人は定年を迎えられて、これからご夫婦で セカンドライフを謳歌しようという方達です。
この世代の特徴は、友達感覚・自由・アグレッシブといっ たところ。
これからは、家事も分担しながら効率的に行い、しかもご夫婦それぞれがご自分の趣味に気ままな時間を過ご す。ゆったりとした時間を過ごすため、スペースを小さ く仕切らず、その上でご自分専用の場所(A・B) も確保. チャンネル争いをしなくて済むよう、大型TVも2台欲しいところです。
ゆったりしたスペースとはスッキリした空間というこ と。
プランニングの最大のポイントは収納となります。
収納プラン
ウォークインクロゼット
現在の季節の衣類をハンガーにかけ、他の季節の衣類はしまって,枕棚に。
寝室から入り玄関へ出られるウォークスルー動線。
着替えや衣類整理が楽にできる広々空間。
コートクローゼット
丈の長いコート類は、お出かけ直前に着られるよう玄関近くに。
シューズロッカー
シューズ類と傘など、お出かけグッズ収納。
アウトドアグッズロッカー
キャンプ用品や車関連グッズなどアウトドア用品専用収納。
スポーツグッズロッカー
ゴルフ・スキー・テニスなどのスポーツ用品専用収納。
カウンター下食品庫
配膳台となるカウンター下に大容量の食品庫や大型調理器具・オーブンレンジなど。
サニタリー収納
下部を下着類などの収納とし、その上にアイロン台、さらにその上に日用雑貨の収納。
大容量壁面収納
大型テレビ用空間以外すべての壁面を天井まで収納として利用。
ガラスブロックまたは書棚
ガラスブロックとすれば、モダンで光あふれる間仕切となり、壁厚を利用した書棚とすれば、大量の文庫本が整理できます。